<モーターパラのライセンス>

 モーターパラグライダーは、法律上 (航空法) では風に飛ばされたゴミ袋と同じ 『浮遊物』 とみなされており、法律的には免許 (ライセンス) はない。しかし、自分たちの安全性を確保するなどのため、自主規制として、パラグライダーの団体ではそれぞれ技能証制度を作っている。
 以下は、3つある団体の技能証の概要。
JPMA技能認定規定 JHF JPA参考資料
CLASS I 技量認定証
 管理されたエリア内(離着陸場の中心から半径5km以内)で、すべて自己判断・責任において、自由に飛行することができる。
MPGパイロット技能証
 管理された離陸場所からおおむね5kmを超えない範囲で、平地からの離着陸でのすべての飛行を自己の判断と責任において行うことができる。
 ※クロカンフライトは、認められない。
モーターベーシックパイロット技能証
 有資格者の監督を受ければスクールエリア内において、その習得した技能の範囲で飛行を行うことができる。
CLASS II 技量認定証
 管理されたエリア以外での飛行(XC飛行)を、すべて自己判断・責任において飛行することができるほか、指導員からの依頼によりClass I 練習生の飛行を監督することができる。
補助動力技能証
 山飛びパラグライダーのパイロット証保有者が取得できるモーターの技能証。
 管理された空域において、すべての飛行を自己の判断と責任において行うほか、有資格教員等の依頼を受けた場合は、その指定する補助動力技能証課程の練習飛行を監督することができる。
モーターパイロット技能証
 フライトを行おうとするエリアのエリアルールに定められた範囲内において、技能証で認められたパラモーターによる飛行を自己の判断と責任において行うことができる。
CLASS III 技量認定証
 CLASS II取得後、競技種目練習を含む飛行経験を積み、知識を身につけた者。日本選手権大会、国際大会に参加することができる(今後、CLASS IIIが大会参加資格となる予定)。
クロスカントリー技能証(XC証)
 山飛びパラグライダーのパイロット証保有者が取得できる山飛びの技能証。
 ※モーターでのクロカンフライトは、補助動力証とこの山飛びのXC証2つが必要
タンデム技量認定証
 同乗者の補償も含むすべてを自己の責任、判断において飛行することができる。
タンデム技能証
 山飛びパラグライダーのパイロット証保有者が取得できる山飛びの技能証。
 ※モーターでのタンデムフライトは、山飛びのタンデム証必要
モータータンデムパイロット技能証
 フライトを行おうとするエリアのエリアルールに定められた範囲内において、1名のタンデム同乗者とともにすべての飛行を自己の判断と責任において行うことができる。
指導員技量認定証
MPG教員技能証
モーターインストラクター技能証

<JPMAの技量認定規定が改定 (2020.10.29)>

  クラスIII技量認定証が新設された。タンデム証も以前はなかったような気がするのだが、あったようだ。
 また、以前からあったのかは知らないのだが、技量認定申請資格要件に、「他団体により発行された同等の技量認定証を持つもの」は試験を受けなくても、「理事会の承認により申請できる」という文言がある。海外の資格だと “同等” な認定証があるのだろうが、JHFの技能証だとどうなんだろう。MPG証だと、たぶん、CLASS I 相当にしかならない。日本選手権は、現在、補助動力証+XC証で参加できると記憶しているので、これだとCLASS III と認められるんだろうか?

<JHF技能証の違和感>

 山飛びをしない、モーターだけをする人は、JHFではMPGパイロット技能証 (以下、MPG証) とMPG教員技能証しか取得できない。そして、MPG証の人は、おおむね5kmの範囲内でしかフライトできない。クロスカントリー技能証 (以下、XC証) を取れば5kmを超えてフライトできるという人がいるが、これは間違いで、JHFではXC証を取得してもMPG証の人のクロカンフライトは認めていない。モーターでクロカンフライトするには、補助動力技能証 (以下、補助動力証) とXC証の2つを有しなければならないという。
 補助動力証は、山飛びのパラグライダーパイロット証 (以下、PG-P証) の付帯証であるので、当然ながらPG-P証を有していなければならない。XC証、タンデム技能証も同様にPG-P証の付帯証である。

 さて、モーターからパラグライダーを始めてMPG証取得後、山飛びを始め、XC証を取得した人がいる。一方、山飛びから始めてXC証を取得後、モーターを始めて補助動力証を取得した人がいる。この二人に、知識・技能等の差はあるのだろうか?
 後者はモーターでのクロカンフライトが認められるが、前者は認められない。この違いが私にはどうしてもわからない。前者がクロカンフライトするには、補助動力証を取得しなければならないという。しかし、補助動力技能証課程で学ぶこと (例えば機材の操作、フライト技能や知識など) は、すでに習得しているので、改めて学ぶことはない。

<JHFにおけるモーターパラの位置付け>

 JHFにおいて、モーターパラグライダーのエンジン (動力) は 『あくまでも高度獲得の補助をする手段』 であるとしており、高度を獲得したら動力を停止して滑空することとしている。なので、『補助動力』 という用語を使っている。
 私はJHFに所属し、上記の違和感があったので、昨年(2017年)、JHFにその違和感についてしつこく問い合わせを行った。JHFの回答は、あくまでもモーターは補助動力であり、動力飛行をメインにしてフライトするものではないというものであった (全然答えになっていないが、制度上、そうしか答えられないらしい)。

 JPAにもモーターの技能証があることを、私は最近知った。JPAでは、2009年に補助動力に限定したライセンスが創設されたが、その後、動力飛行をメインとするフライトに対する要望が強くなり、2012年に上記の技能証が整備されたそうだ。

 JHFもJPAも、元来、山飛びパラグライダーの団体であるが、一方、JPMA (日本パラモーター協会) は、マイクロライトプレーン(超軽量動力機 : 平たく言うと超軽量飛行機) の愛好者たちでできた団体だそうだ。したがって、動力飛行をメインにしてフライトすることを目的にしており、JHFとはスタンスが異なっている。
 ただ、JPMAでも現在の技量認定が現状にそぐわなくなってきており、見直して新しい認定制度を検討中だという話も聞いた。


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